人生100年時代です。50才でアーリーリタイアをしたら、リタイア後の生活は50年もあります。50年あるリタイア後の生活は3つの期間に大きく分けて考えることができます。
- 元気リタイア期、アクティブシニア期(健康寿命)
- ギャップシニア期、フレイル期
(「ギャップシニア」は2014年に日本総研が命名し、提唱した言葉です。)
(「フレイル」は日本老年医学会が2014年に提唱した概念です。) - 要介護シニア期
元気リタイア期、アクティブシニア期(健康寿命)
元気リタイア期、アクティブシニア期は、健康寿命前の期間、ギャップシニア期前の期間です。リタイア生活を一番謳歌出来る時期です。子供は手が離れ始めて、親の介護が必要になってくる時期でもあります。
「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」という質問の調査結果に対して、「ない」と回答した人
各都道府県、男女でバラツキはあるが概ね73才~75才位
元気リタイア期は50才でアーリーリタイアをしたら、約25年。
65才で定年退職したら7~10年しかありません。
元気で自由なリタイア期をいかに有効に活用するか、またこの時期はリタイアや子どもの独立など、人生のターニングポイントと重なり、変化の大きい時期でもあります。また、住み慣れた家ならば、それなりに老朽化していると思われますので、家計に余裕があるこの時期に、ちょっと早めの修繕やリフォーム、住み替えなどを検討してもよいと思います。
親、子供達、パートナー等の家族ともしっかりと話し合って、自分の思いを伝え理解を深めて、この後のギャップシニア期、要介護シニア期への準備を進めながら、自由な時間を楽しみましょう。
また、この後のギャップシニア期、要介護シニア期を短期間に快適に過ごすには、この元気リタイア期での健康管理、体力促進は欠かせません。
ギャップシニア期(フレイル期)
健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指しますが、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があります。
日本老年医学会が2014年に提唱した概念
75歳を超えて子供達に心配されて運転免許の返上をきっかけに、外出が減って交流が減ったり、家に閉じこもりがちになります。また、閉じこもりは、認知症やうつリスクも高いという傾向も見られます。これらのことから、ギャップシニア(フレイル)にとって、外出をいかに確保するかということが要介護状態に陥らないために重要な要素になってきます。
高齢になって病気にかかったり、体力が低下したりすると「できること」が減り、「やりたいこと」との間に隔たりが生じます。そのときに、「どうやったらできるようになるか」と考えたり工夫したりするのではなく、「年だから仕方がない」と諦め、我慢することによって、この隔たりを解消しようとするのがギャップシニア(フレイル)の特徴です。そのように、みずから自分の気持ちを抑制してしまうと、さらに「できること」が減ってきて、生活が不活発になり、徐々に要介護状態に近づいてしまいます。
ギャップシニアは、二つのギャップに直面しています。
ひとつめは、先ほど申し上げた「できること」と「やりたいこと」との「ギャップ」です。
さらに、「制度・サービス・情報」の面でも「ギャップ」があります。
要介護になって認定を受ければ、介護保険のさまざまなサービスを利用するチャンスも広がるだけでなく、ケアマネジャーを通じて、生活上の課題が明らかになり、さまざまな情報が入手できるようになります。
一方で、ギャップシニアには、サービスも情報も届きにくい状況にあります。もちろん、元気でアクティブな高齢者のように、自ら欲しいものを探す、といった積極的な行動に出ることもまれです。なぜなら、自分自身が「困っている」という認識が弱く、情報収集意欲が低いため、情報が集まりにくいのです。
逆に、サービスを提供する側から見ても、ギャップシニアに対する情報は届けにくく、さりとて要介護高齢者のようにケアマネジャーというキーパーソンを通じてアプローチするという方法もとれません。
そういう意味で、制度・サービス・情報の面においても、狭間の位置にあるという意味で「ギャップ」に直面しているのです。
この時期は、大きな怪我や病気をしないこと、毎日の生活が無理なく送れることに配慮しましょう。例えば、室内の段差解消や手すり設置などの「バリアフリー化」や、室内の寒暖差(ヒートショック)により起こる心筋梗塞や脳卒中を防止するための「断熱化」などが重要になります。また、外出や買い物などに不便を感じている場合には、駅近のマンションなどへの住み替えも検討してよい時期だと思います。
就労やボランティア活動、趣味や稽古ごとなどのグループ活動、友人や知人との交流や近所付き合いなど、地域社会にかかわる活動に参加することが効果的です。閉じこもりがちな生活をしないように、生活習慣を改善してみましょう。
「社会性」は、活動量、精神・心理状態、口腔機能、食・栄養状態、身体機能など、多岐にわたる健康分野にも大きく関わります。
「ギャップシニア」に関する情報は「日本総研」の情報を参考に記述しています。
要介護シニア期
身体的な障害により、日常生活において家族やヘルパー、医療従事者の助けが必要となる時期です。
要介護期となると、日常的に家族やヘルパーなどの手助けが必要になります。
介護の度合いにもよりますが、在宅介護であれば、ヘルパーなどが介護しやすい環境を整えることが重要です。例えばトイレや浴室、キッチンなどのリフォームや、介護者が夜間でも入室できるような設備等が必要になります。
また、自宅での介護が難しければ、サービス付き高齢者向け住宅や、有料老人ホームなどへの住み替えも視野に入れなければなりません。いずれにしても要介護期の住まいは、自分だけではなく、市区町村の相談窓口やケアマネジャーなどとよく話し合い、家族の了解のもとに決める必要があります。
まとめ
人生100年時代、50年あるリタイア後の生活は3つの期間があります。
- 元気リタイア期(健康寿命)
- ギャップシニア期(※「ギャップシニア」は2014年に日本総研が命名し、提唱した言葉です。)
- 要介護シニア期
このような期間が有る事を理解し考えながら、リタイア生活を有意義にすごしましょう。