リタイア生活

介護費用は一人500万円必要。介護保険制度を理解して、介護に対するリスクに備えよう

私の両親は既に看取りました。
奥様の母親(78才)が奥様の実家で元気です。奥様のお兄ちゃん家族と住んでます。
私は56才、奥様は53才です。令和3年現在
奥様の母親は奥様のお兄ちゃん家族が看取るでしょうから、介護の心配があるのは自分達です。

日本には世界に誇れる介護保険制度があります。

介護保険制度を理解して、介護に対するリスクに備えましょう。

介護保険制度とは

介護保険制度とは

65才以上の高齢者または40才~64才の特定疾病患者のうち介護が必要になった人を社会全体支える仕組みです。65才以上の人は原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。また40才~64才の人は、加齢に伴う疾病(特定疾病)が原因で要介護(要支援)認定を受けたときに介護サービスを受けることができます。

40才から介護サービスを受けられる

高齢者(65才以上)でないと介護保険サービスを受けられないと思われがちですが、実は40才~64才の人も疾病の種類(特定疾病)によっては介護サービスが受けられます。

特定疾病

40才~64才の人も介護サービスを受けられる特定疾病を下記表に示します。

1 がん(末期)9 脊柱管狭窄症 
2 関節リウマチ10 早老症
3 筋萎縮性側索硬化症11 多系統萎縮症
4 後縦靱帯骨化症12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
5 骨折を伴う骨粗鬆症13 脳血管疾患
6 初老期における認知症14 閉塞性動脈硬化症 
7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病15 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
8 脊髄小脳変性症16 慢性閉塞性肺疾患
特定疾病一覧

介護保険料

40才以上になると、健康保険料にこっそり介護保険料が足されて徴収されるようになります。

自営業者は市町村で異なりますが、大体年収の1.5%位
サラリーマンは1.74%を会社と折半で0.8%位です。

介護保険サービス

介護保険制度には様々な介護サービスの種類があります。
介護サービスの種類を確認して、最適なサービスを受ける様にしましょう。

介護サービスの種類
厚生労働省の資料より

上記サービス以外にも各市町村独自の介護サービスがあります。
各市町村で介護サービスは確認しましょう。宅食サービス、特別費用補助等

介護サービス費用の自己負担額

介護サービス費用の7割分~9割分(所得により変動)は保険給付され、要介護者は、原則として残りの費用の1割分~3割分(利用者負担割合:所得により変動)のほか、施設サービスを利用した場合の食費及び居住費を負担します。

介護サービス費用の自己負担額
厚生労働省の資料より

上記の青色部分の費用が自己負担です。

※1:在宅サービスは、要介護度に応じた支給限度基準額(保険対象費用の上限)が設定されています。

※2:居宅介護支援全額が保険給付されます。

※3:日常生活費とは、サービスの一環で提供される日常生活上の便宜のうち、日常生活で通常必要となる費用。(例:理美容代、教養娯楽費用、預かり金の管理費用など)

利用者負担割合

介護サービスを利用するときは、介護保険負担割合証に記載されている利用者負担割合に応じてサービス費用のうち1割から3割までのいずれかが利用者の負担となります。ただし、給付額減額措置を受けている場合は、そちらが優先されます。

基本的には1割負担

40歳から64歳までの方は所得関係なく1割負担です。

65歳以上の市民税非課税の方、生活保護受給者は1割負担です。

65才以上は所得によっては2割、3割負担

利用者負担割合は、「世帯の65歳以上の人数」、「所得」によって異なります。

負担割合判定チャート

このように、世帯によって保険料の負担割合が異なるので、ご自身がどれくらいの負担をする必要があるのかは事前に確認しておきましょう。

在宅サービスの支給限度基準額

訪問介護やショートステイなどの在宅サービスおよび地域密着型サービスは、要介護度別に1ヵ月あたりの支給限度基準額が定められています。利用者はその範囲内で、自分の希望するサービスを組み合わせて利用できます。

限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。

区分支給限度基準額自己負担限度額
(1割負担の場合)
要支援150,320円5,032円
要支援2105,310円10,531円
要介護1167,650円16,765円
要介護2197,050円19,705円
要介護3270,480円27,048円
要介護4309,380円30,938円
要介護5362,170円36,217円
在宅サービスの支給限度基準額と自己負担限度額

利用限度額、自己負担限度額は地域区分による上乗せのない「その他」(1単位10円)の地域の場合の金額です。

実際に利用できる利用限度額やサービス料金(介護報酬)は1単位10円を基本にし、サービスの種類ごとに、人件費相場などを勘案した八つの地域区分の地域単価を掛けることで計算されます。そのため、人件費が高い都市部ほどサービス料金は高くなり、地域単価は1単位あたり10.00円~11.40円と差があります。

施設サービス自己負担の目安

個室や多床室〔相部屋〕など住環境の違いによって自己負担額が変わります。

※介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安
施設サービス費
(自己負担割合)
約25,000円(1割)、
約50,000円(2割)、約75,000円(3割)
居住費約25,200円(840円/日)
食費約42,000円(1,380円/日)
日常生活費約10,000円(施設により設定されます。)
合計
(自己負担割合)
約102,200円(1割)、
約127,200円(2割)、約152,200円(3割)
要介護5の人が多床室を利用した場合
施設サービス費
(自己負担割合)
約27,500円(1割)、
約55,000円(2割)、約82,500円(3割)
居住費約60,000円(1,970円/日)
食費約42,000円(1,380円/日)
日常生活費約10,000円(施設により設定されます。)
合計約139,500円(1割)、
約167,000円(2割)、約194,500円(3割)
要介護5の人がユニット型個室を利用した場合

高額介護サービス費

月々または年間の自己負担額(福祉用具購入費等一部を除く)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。

施設を利用した際にかかった食費や居住費、日常生活費など、もともと介護保険の対象外となる費用については、高額介護サービス費の支給対象にはなりません。

支給を受けるためには、市区町村に申請することが必要です。

設定区分対象者負担の上限額(月額)
第1段階生活保護を受給している方等15,000円(個人)
第2段階前年の合計所得金額と公的年金収入額の合計が年間80万円以下の方等24,600円(世帯)
15,000円(個人)
第3段階世帯全員が市区町村民税を課税されていない方24,600円(世帯)
第4段階市区町村民税課税世帯~
課税所得380万円(年収約770万円)未満
44,400円(世帯)
第5段階課税所得380万円(年収約770万円)~
課税所得690万円(年収約1,160万円)未満
93,000円(世帯)
第6段階課税所得690万円(年収約1,160万円)以上14,100円(世帯)

※「世帯」とは、住民基本台帳上の世帯員で、介護サービスを利用した方全員の負担の合計の上限額を指し、「個人」とは、介護サービスを利用したご本人の負担の上限額を指します。

高額医療・高額介護合算制度

「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、1年間の公的な医療保険と介護保険のサービス費の自己負担額があまりにも高額になってしまった場合に、それを軽くするためのしくみです。世帯ごとに医療保険と介護保険の年間(8月~翌年7月)の負担額を合算して、一定の限度額を超えた分が支給されます。

そもそも、公的医療保険には「高額療養費制度」、介護保険には「高額介護サービス費制度」があり、1ヵ月ごとの医療費、介護サービス費の自己負担を軽減できます。高額医療・高額介護合算療養費制度は、1年単位でそれらを合算して、なお残る重い負担を解消してくれる制度なのです。決められた限度額(年額)を超えた場合、市区町村に申請をすると超えた分が支給されます。

介護保険では、自身の要介護区分の支給限度を超えて利用したサービス費のほか、福祉用具購入費、住宅改修費の自己負担分、施設サービスなどでの食費や滞在費などは対象外です。つまり高額療養費や高額介護サービス費の対象にならない費用は、この合算制度でも対象外ということです。

さらに、個別の高額療養費、高額介護サービス費で支給される部分(額)は対象外で、実際に自己負担した金額のみが対象となります。

所有区分自己負担額
住民税非課税世帯34万円
年収約156万円 ~ 約370万円
(課税所得145万円未満)
60万円
年収約370万円 ~ 約770万円
(課税所得145万円以上380万円未満)
67万円
年収約770万円 ~ 約1,160万円
(課税所得380万円以上690万円未満)
141万円
年収約1,160万円以上
(課税所得690万円以上)
212万円

特定入所者介護サービス費(補足給付)

施設サービスを利用したときは、施設サービス費の利用者負担額に加え、居住費・食費・日常生活費が全額自己負担になります。

所得が低い方は、居住費と食費の負担が軽減されます。所得が低い方の居住費と食費については、所得に応じた自己負担の限度額が設けられており、これを超えた分は「特定入所者介護サービス費」として、介護保険から給付されます。
給付を受けるには、申請が必要です。

厚生労働省の資料より

実際介護費用はどのくらい掛かるか

実際に介護費用がどのくらいのお金が必要か?
「生命保険に関する全国実態調査」より)

  • 介護期間の平均:54か月(4年7か月)
  • 一時的な介護費用の合計平均:69万円
  • 月額介護費用の平均:7.8万円

介護費用合計=54か月×7.8万円+69万円≒490万円

介護費用として、1人500万円程度準備が必要

一人当たり500万円で夫婦合わせると1000万円は介護費用として準備しておかないと、子供達に迷惑がかかるかも….

最期に

どんぐり小僧

介護保険制度は頻繁に制度が改正され、負担額は年々増えています。
情報はマメに確認しましょう。

ABOUT ME
どんぐり小僧
52才で会社退職し、「悠々自適なリタイア生活」を目指して日々のんびり考えながら暮らしています。アーリーリタイアのための情報、悠々自適なリタイア生活のための情報を発信していきます。